人生をデザインする——自分らしく生きるために

立教大学

2025/03/24

トピックス

OVERVIEW

立教大学のカリキュラムやプログラムにおいて大切にしていることは、学生自身が「自分らしく生きる」ための力を育むことです。学びの柱である「RIKKYO Learning Style」は、「なりたい自分をデザインするための礎を築く」ために、知的好奇心に呼応した学びを主体的に組み立て、自分らしく成長していくことを重視しています。座談会を通して「自分らしい人生をデザインすること」について考えます。

左から、後藤文学部教授、西原総長、倉品兼任講師

「自分らしく生きる」とはどういうことか。「自分らしく生きる」ために必要なことは。大学でどのような学生生活を送ればよいのか。西原廉太総長と、全学共通カリキュラム運営センターで総合系科目構想?運営チームリーダーを務める後藤雅知まさとし文学部教授、日本経済新聞社の編集委員であり全学共通科目で2科目を担当する倉品武文兼任講師に、「人生をデザインする」というテーマで話を伺いました。

リベラルアーツ教育を体現するRLS、全カリが目指すもの

西原 立教大学の教育カリキュラム「RIKKYO Learning Style」(RLS)は2016年度にスタートしましたが、この改革の原点は、1991年に行われた大学設置基準の大綱化にさかのぼることができます。一般教育に関する規定が廃止され、各大学が特色あるカリキュラムを設定できるようになったことから、教養教育を廃止して専門教育のみに絞る大学も多く出てきました。その中で本学は、1874年の創立以来、大切にしてきたリベラルアーツ教育を貫き、全ての教員が教養教育を担うという理念のもと、1997年度に「全学共通カリキュラム」(全カリ)を導入。その後、さらなる高度化を目指して何回かの改革を経て、2016年4月にRLSをスタートしたのです。設計のベースはキャリア教育の考え方でした。本学では、キャリア教育を就職支援とは捉えず、4年間を通して「自分らしい人生の在り方」をしっかりと考えることを重視しています。RLSにおいて、学びの入り口としての「導入期」、視野を広げる「形成期」、将来を見据えて専門分野を究める「完成期」と、大学4年間を3つのステージに分けたのは、キャリア教育の発想に基づいており、まさに「人生をデザインする」ことにつながるものです。

後藤 全学共通科目(全カリ)※1が目指しているのは、専門分野の枠を超えて幅広い学びに触れ、知識を相互につなぎ合わせながら、総合的な判断力と優れた人間性を養うことです。全学共通科目は言語系科目と総合系科目で構成され、総合系には「学びの精神」「多彩な学び」「スポーツ実習」という3つの科目群があります。「学びの精神」で目指すのは、導入期において全ての新入生が大学で学ぶための包括的なスキルを会得し、自ら主体的に学ぶ姿勢を身に付けること。1年次の春学期でこうした科目を履修した後、秋学期以降に「多彩な学び」を履修することになります。「多彩な学び」は総合系科目の主軸となる科目群。3?4年次での履修を推奨している科目もあり、専門分野を学んだ上で、それらの知識をどうつなげるか、社会とどう関連付けていくか、といった学際的な学びも意識した科目を配置しています。このように全学共通科目では、4年間を通して、さまざまな学びに触れながら「自分らしい人生」のデザインにつながる機会を提供しています。

※1 全学共通科目(全カリ):学生の学びを「全学で支える」という理念のもとに設置された「全学共通カリキュラム運営センター」が運営し、全学部の学生が履修できる。言語系科目と総合系科目で構成される。「全カリ」は、「カリキュラム」であると同時に、「運営組織」であり、「教育革新の運動体」と表現される立教大学の教学的な特色の一つ。

RIKKYO Learning Style(RLS)

自分を育む多様な10の学び
なりたい自分をデザインするための礎を築くには、座学だけにとどまらない、さまざまな体験を通した学びが必要。RLSでは、専門科目や幅広い学問領域に触れる科目、海外プログラムなど、10のカテゴリで構成される多様な学びを用意している。
3つの期間に分けて段階的に学ぶ
RLSでは4年間の学生生活を、学修の基礎を身に付ける「導入期」、さまざまな経験を重ねて視野を広げる「形成期」、将来の目標を見据えて専門分野を究める「完成期」の3つの期間に分け、段階的に学びを深める。

社会や人生について考えを深める

倉品 導入期で私が担当している「キャリアデザイン」では、卒業後に社会の一員として働く学生たちに、キャンパス外の世界で何が起きているのか知ってもらうことを目的としています。例えば、かつて日経新聞に掲載された「就職氷河期」の記事を読み解きながら、経済や景気、現在の就職活動などについて一緒に考えを深めていくこともあります。この科目は多数の学生が履修していて、毎回の授業後に提出されるリアクションペーパーには、社会に出ることに対する不安や悩みが多く書きつづられていました。そうした学生たちに、より実社会との接続を意識して、主に完成期(3?4年次)向けに開講したのが、2024年度秋学期から開始した「立教ゼミナール発展編2」(現代社会を生きる)です。テーマは「キャリアデザイン」と同じ方向性ですが、学生が自分の考えを文章にまとめたり、発表したりする機会を多く設け、社会や時代に対して一歩踏み込んで考察する内容です。

後藤 倉品先生には、将来への不安を抱えた学生に対して「こういう記事を読んで勉強するのがよい」といったアドバイスをいただいたと聞いています。倉品先生が担当する「立教ゼミナール発展編2」が開講されたことで、導入期と完成期のそれぞれのフェーズにおいて、「自分らしい生き方」や「社会で働く意味」などを考える機会を学生に提供でき、ありがたく思います。

西原 一定の専門性を身に付けた3?4年次生が他の分野に触れて自分の専門の意味を考えること、また多面性?複合性を帯びる社会の課題を解決するために、多角的な視点を持つことの重要性が再認識されています。その点においても、倉品先生に担当いただいている「立教ゼミナール発展編2」は重要な科目です。完成期に幅広い教養を身に付ける「レイトジェネラリゼーション」を、今後さらに強化していきたいと考えています。

「自分らしい人生」をデザインするために

倉品 私が担当している「キャリアデザイン」は、毎年約200人の学生が履修しています。そこには200通りの人生があるのですから、「立教生」として一くくりにしてしまうわけにはいきません。また、履修学生の大半は新入生です。卒業後の進路について、まだ明確な目標を持っているわけではありません。「焦る必要はない」と伝えながら、「自分らしい人生」とは何かを一緒に考えるところから授業を始めます。時代によって状況は異なるのですが、時代を問わず大切にしてほしいのは「人のせいにせず、自分で考えながら道を選んでいく」ということです。どんな生き方をするか、どんな働き方をするか、どんな家庭を築くか、それらを自分で選ぶことができる人生こそが「自分らしい人生」につながるのではないかと提案し、どんな選択肢を選ぶのかを考えてもらうのです。それを手伝うことが私の役割だと考えています。

後藤 「自分で選ぶ」ことは「自分らしい人生」をデザインする上で重要ですね。私は、将来に悩んでいる学生がいたら、できるだけいろいろな可能性が残る選択肢を選ぶようにアドバイスしています。本学のカリキュラムにおいても、将来の選択肢を広げて考えられるような科目を、より増やしていきたいと思っています。

西原 学生に対して私たち教員ができることは、“種まき”であり、一生懸命に水を与えても、果たして芽が出るのか、どんな花が咲くのかは分かりません。「自分らしい人生」は、学生自身が見つけていかなければならないのです。その上で大学が果たすべき役割は、学生を、品質管理された“規格品”として生産することではなく、生涯にわたって学び続けるための“知の体幹”を鍛えることではないでしょうか。常識や定説を疑う批判的精神や、自己と他者を知ろうとする姿勢、世界や時代を読み解きたいと思うマインドなど、そうしたものを身に付けられる支援をするのが大学の役割です。

立教大学には「池袋図書館」と「新座図書館」、「新座保存書庫」がある。蔵書は204万冊を超え、原書や貴重書も豊富にそろっており、心ゆくまで「一次資料」に触れることができる。PCやグループ学習室、図書館活用講座の開催など、学修を多面的に支援している

倉品 「キャリアデザイン」の副題に「世界を知り、時代を読む力を鍛えよう」という文言があります。例えば、雨が降りそうなら傘を持って出かけるように、「これから世界で起こることは何だろう。それは自分の人生にどのような影響があるだろう」と常に考えながら行動する。こうした視点を大切に学び、活動してほしいと思い、このキーワードを入れました。

後藤 私は史学科で日本史を教えていますが、古い史料を探して読み解く技術が社会で直接的に役立つ機会は少ないかもしれません。しかし、学びを通して、世の中にあふれる情報の中から信頼できるものを精査し、それらを組み合わせ、新たな発想をするための基礎体力を鍛えることができます。日本史は範囲の狭い学問と思われがちですが、得られる学びは大きい。ですから、先入観にとらわれず、さまざまな分野を幅広く学んでほしいのです。

西原 「幅広く学ぶ」とは、決して“知識のつまみ食い”ということではなく、高いレベルで見識を深めるということだと思います。ITやAIを上手く使うことも今の時代には必要でしょう。しかし、手軽に入る情報に踊らされず、一次資料を読み解き、思索を深めることが学問においては重要です。「沈思黙考」という言葉がありますが、人間がじっくりと思考した事実はデータとして残らないからこそ、AIに利用されることもありません。それに対して意義を感じられる感性を、立教生には持ってもらいたいと願っています。

「キャリアデザイン」(明日への一歩を踏み出すために、世界を知り、時代を読む力を鍛えよう。)

全学共通科目総合系科目(学びの精神)
担当 倉品 武文 兼任講師
日本経済新聞社と立教大学が協働で開講する科目。日本経済新聞の記事を題材に、世界や社会の課題について考える。長年メディアに携わってきた講師による授業を通してニュースに触れる習慣を身に付けるとともに、学ぶことや生きることについて考えるきっかけとする。本科目をベースとした「立教ゼミナール発展編2」(現代社会を生きる)は、完成期(3~4年次)を対象に開講。
各回の授業のテーマ(一例)
  • オリエンテーション「私たちはなぜ学ぶのだろうか」
  • 世界はいま「世界の動きに注目してほしい」
  • 豊かさとは何だろう「やがて働き始める君たちへ」
  • 歴史から未来を考える「歴史には人生の教訓が詰まっている」
  • 消費をつかむ「消費は景気を動かす。そしてビジネスチャンスとなる」

西原 廉太

立教大学総長。文学部キリスト教学科教授。専門分野はアングリカニズム、エキュメニズム、組織神学、現代神学。立教学院院長。キリスト教学校教育同盟第28代理事長。日本私立大学連盟常務理事

後藤 雅知

文学部史学科日本史学専修教授。2012年立教大学に着任。専門分野は日本近世史。2021年度より全学共通カリキュラム運営センター総合系科目構想?運営チームリーダーを務める

倉品 武文

日本経済新聞社編集委員。若者や大学をテーマに記事を執筆。兼任講師として「キャリアデザイン」と「立教ゼミナール発展編2」の2科目を担当

書籍 『人生と仕事と学びをつなぐ15の講義』

編著:日本経済新聞社?立教大学
出版社:日経BP?日本経済新聞出版/3月28日発売予定

日本経済新聞社と立教大学が協働で開講する「キャリアデザイン」(明日への一歩を踏み出すために、世界を知り、時代を読む力を鍛えよう。)と「立教ゼミナール発展編2」(現代社会を生きる)での授業内容を生かし、日経新聞編集委員、立教大学教員?卒業生が執筆を担当。大学入学前後に考えてほしい15のテーマを立て、全国の若者への助言となるような内容となっている。

15の講義テーマ
  1. AI時代とリベラルアーツ
  2. キャンパス新生活の心構え
  3. 伝わる文章のコツ~新聞記事を事例に
  4. 情報収集に強くなるコツ~日経電子版を事例に
  5. 資産づくりのコツ~節約から始めよう
  6. 世界はニュースに満ちている
  7. 豊かさってなんだろう
  8. お金とつき合う長い人生
  9. 多様性社会を生きる
  10. 仕事の魅力を知る
  11. 会社で働くこととは
  12. 消費をつかむ
  13. 大学で学ぶとは
  14. 夢を忘れない
  15. 人生を拓く

動画 創立150周年記念企画 総長対談シリーズ “自分らしい生き方”を追求するということ

教育?メディア?芸能?音楽?芸術などの分野で活躍されている方々と、西原廉太総長との対談を150周年サイトで公開中。ゲストの経験やキャリアをひもとき、「リベラルアーツ」や「自由に生きるために必要な姿勢」について多様な視点から紹介します。一緒に、“自分らしい生き方”を考えてみませんか。
出演者(公開順、敬称略)
  • 池上 彰(ジャーナリスト、立教大学客員教授)
  • 小玉 ひかり(シンガー?ソングライター)
  • 鳥飼 玖美子(英語教育研究者、立教大学名誉教授)
  • 南沢 奈央(俳優)
  • 渡辺 憲司(日本近世文学研究者、立教大学名誉教授)
  • 良原 安美(TBSテレビアナウンサー)
  • 片岡 真実(森美術館館長)
  • 細野 晴臣(音楽家) ※本対談はWeb記事です。

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